◆ビリー・ライレー
日本でも有名なライレーの弟子は、“プロレスの神様”と呼ばれたカール・ゴッチです。1968年から長期に渡り、日本プロレス内で開校された「ゴッチ教室」で、アントニオ猪木ら当時の若手選手にビリー・ライレー仕込みの技術を伝えました。その後も、藤原喜明、シューティング(現:修斗)創始者の佐山聡(初代タイガーマスク)、前田日明、高田延彦、船木誠勝、鈴木みのるなど、現在の総合格闘技の礎を築いてきた多くのプロレスラーも指導しました。ゴッチは日本滞在時にはすでに全盛期を過ぎており、選手としてではなく、名コーチとしてその名を馳せました。
その後も、“ビリー・ライレー最後の弟子”ロイ・ウッドが、ライレーの遺志を受け継ぎ、子供を中心に指導を続けました。ウッドは、数々のフリースタイル・レスリングの全英チャンピオンを輩出し、伝統の技術を守り続けています。ウッドもまた、「ゴッチ教室」、「ロビンソン教室」のように1990年に新興プロレス団体SWSにコーチとして来日し、若手選手を指導しました。また、1996年には藤波辰爾の主催興行、「無我」にもコーチ役として度々参加しました。
21世紀に入り、世界的に総合格闘技が流行すると、ランカシャー伝統の技術が、再び脚光を浴び始めました。2012年“蛇の穴”の復興を目指し、聖地ウィガンでおよそ50年ぶりとなる、伝統ルールでの、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンの大会が開催されました。その輪は広がりを続けており、大会規模は年々拡大しています。