キャッチ・アズ・キャッチ・キャンは、現在よく知られているオリンピックレスリング(フリースタイル)、MMAのグラップリング、柔道、柔術などとは異なったルールになります。 (ルール参照
では、選手はどのような戦略を取り、どのような技術を使わなくてはいけないのでしょうか?
キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(以下CACC)の試合展開をイメージしやすいように、他の組技系格闘技と比較しながら、基本的な戦い方を紹介します。

●スタンド攻撃
お互い立った状態から相手をグラウンドに持ち込んで、有利なポジションを取るための攻撃例です。
★基本の構え
  1.タックル
頭は上げ、腕は軽く曲げて脇を締めます。片足を前に出し、肩幅ほどに広げて、膝を軽く曲げます。   相手の片足、または両足を取って倒します。
2.がぶり   3.投げ
相手の頭と片腕を巻き込んで抱え、テイクダウン、サブミッションにつなげます。膠着ブレークがないため、長時間この体勢を維持して相手の首と体力を消耗させるのも戦術のひとつです。   組み合った状態から、様々な投げ技が狙えます。投げ技には、一気にフィニッシュに繋げられるものが多くあります。


★注目点1
オリンピックレスリングのようにタックルや投げでポイントが得られない、柔道のように投げで一本勝ちにならないため、攻撃者・防御者ともにグラウンドに移行する瞬間のポジション取りが重要になります。
 
(3.投げ・写真)→ 投げたあとすぐに自分の体勢を変えて、相手をコントロールします。そして、ピンフォール、サブミッションを狙います。   ×(3.投げ・写真)→ 投げたあとすぐに抑え込みに移行しないと、逆にバックを取られ不利な状態からグラウンドの攻防が始まります。

 

 
 
 
 

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●スタンド防御

倒されそうになれば、相手に掴まれている部分を振りほどいて、相手から離れていくというのが基本的な防御法になります。

  ★注目点2
オリンピックレスリングのように倒されてポイントを失うということがありませんので、わざと相手の技を受け、それを利用して逆に自分が有利なポジションを狙うという戦術も有効になります。
相手の突進の勢いを利用して、自分から転がり、相手を後方に転がします。   倒されたように見えても、最終的には上のポジションをとります。

 


●グラウンド攻撃
 
多様な技術を駆使して、相手を崩していくことが求められます。まずは相手をうつ伏せにして、ピンフォールやサブミッションにつなげます。   ピンフォール決着があることにより、柔術のように下から攻めるのではなく、常に上のポジションを取ることが重要となります。サブミッション(関節技)は、基本的に上のポジションから仕掛けます。

★注目点3
チョーク攻撃がないため、下の相手は頭を上げて動いてきます。首を捻る攻撃で、相手を消耗させるのも有効な攻撃となります。
 
   
相手の首が下がってくれば、ネルソンなどを仕掛けるチャンスです。また、相手に逃げられてスタンドの状態に戻ったときも、首を疲れさせておけば、有利に試合を進められます。
 

 

★注目点4
防御者がサブミッションを逃れようとして動けば、攻撃者はピンフォールのチャンスが生まれる。 逆にピンフォールを逃れようとして動けば、攻撃者はサブミッションを極めるチャンスが生まれる。 このような展開がよく見られます。
   
  ↙↘  
 
防御者が、肩関節が極まるのを逃れようとして動けば、仰向けにさせてピンフォールを狙いやすくなります。   防御者が、仰向けにひっくり返されないよう踏ん張れば、肩関節を極めるサブミッションを狙いやすくなります。

★注目点5
オリンピックレスリングのようにグラウンド状態で相手を回しても(ローリングなど)ポイント追加となりません。そのため、回すことでより良いポジションを取っていることや、相手にダメージを与えていることが重要となります。
相手が両膝をマットにつけて高いポジションをとり、反撃を試みようとしている。   自ら転がり、相手を回す。
  ↙↘  
 
回りながら自分の足を相手の体の下に入れ、相手をうつ伏せにさせた状態で止まります。   ×相手を回しても、元のポジションに戻ってしまえば、自分の体力の消耗につながります。
 

 

★注目点6
試合時間が長く、ラウンド間休憩、膠着ブレークがないため、早期決着を狙う戦術だけでなく、スタミナ勝負の長期戦にも持ちこみやすくなります。
時間を気にして慌てて仕掛けた技を逃げられ、逆にポジションを取られる ― というリスクを負わずに、上のポジションで時間をかけてフィニッシュを狙います。したがって、常に上のポジションで相手をコントロールすることが重要になります。


●グラウンド防御  
仰向けの状態にされれば、ピンフォールを取られてしまいます。 仰向けにされそうになれば、すぐにうつ伏せになります。
柔術などのように自ら背中をマットにつけることはしません。常に上のポジションを取るようにします。

★注目点7
オリンピックレスリングでは、うつ伏せの状態で上手く防御していると、膠着状態になりスタンドからの再開になります。しかし、CACC伝統ルールではラウンド終了/膠着ブレーク待ちができません。うつ伏せの状態で止まってしまえば、相手の攻撃を受け続けてしまいます。
 
脱出や反撃に移行するために、まずは高いポジションを取ります。   ×この状態ではピンフォールは免れますが、防御しかできず反撃ができません。
 
 
立ち上がってエスケープしたり、相手を転がして逆に有利なポジションを取り返したりと、様々な反撃が可能になります。   相手は安心して次々に技を仕掛けてきます。 防戦一方になり、スタミナを消耗します。


★注目点8
チョーク攻撃がないため、このポジションでは頭を下げて丸まって固まる、いわゆる“亀”の状態にはなりません。そのため、攻撃者・防御者ともに素早く動き回るグラウンドの攻防が生まれます。
×この体勢も防御しかできず、相手に攻め続けられます。   相手は上のポジションをキープしやすくなったり、ネルソンなどの技が狙いやすくなったりします。